従業員持ち株会、社員持ち株会といったように呼び方は色々ありますが、自社の社員が自社株を給料からの積立で購入していく制度があります。
会社から購入補助がでるといったような補助制度もあり、特典がある運用方法です。
従業員の資産形成にとっては魅力がある制度と言えるでしょう。会社にとっても、業績アップ=株価上昇=従業員が儲かる=会社もハッピーというわけで、相互にメリットのある制度でした。
そう、高度経済成長期はね。
これは東芝の30年の株価推移。それこそ、50歳程度の人を意識して考えると、30年前から今までは就職してから今までの東芝の株価ということになります。
ところどころで吹いてはいますが、トレンド的には下落し続けています。平均的な取得価格でいえば、500円~700円くらいということになりそうです。
そして株価は200円割れという状況になっています。つまり、会社に入ってから積み上げてきた資産は拠出額の半分くらいにまで落ちてしまっているということなんです……。
さらに、今の東芝は事業部の身売りなども検討されているわけで、人によっては職自体を失うことにもなりかねないという状況です。失業まではいかなくても、給料ダウン、賞与カットなどの影響は出てくるかもしれません……。
まさに、従業員持ち株会のリスクが大きく顕在化してきたということになります。
卵を一つの籠に盛るな
ちなみに、こうした運用はリスクであることを昔から投資格言ではこう言われています。「卵は一つの籠に盛るな」と。
普通の人がもつ最大の資産は労働によって得られる収入ということを考えると、そうした労働資本だけでなく、金融資産までを会社に捧げるというのは、リスク分散どころか、一つの籠に盛れるだけ卵を盛っている状態のようなものです。
そう考えると、持ち株会はやっぱりハイリスク運用といえそうです。